最近話題の「DeepSeek」は中国の開発者による独自の大規模言語モデルである。オープンAIなどの米国勢が進める大規模な学習モデルに対して、「DeepSeek」は異なるアプローチを採用した。
まず、答えが明確に定まっている数学の問題を大量に学習させ、論理的な思考能力をAIに身につけさせることを優先した。この方法を取ることで、単に膨大なデータを詰め込むのではなく、論理的に推論し、自ら答えを導き出す能力を強化することができた。この手法の大きな利点は、学習データの総量を抑えながらも、推論力と回答の正確性を向上させる点にある。結果として、開発コストを劇的に削減しながら、高い性能を実現することが可能となった。
この手法は、単にAI開発のコスト削減という観点だけでなく、人間の学習方法にも示唆を与えるものとなる。AIが数学的思考を通じて、推論能力を高めたのであれば、人間の教育においても数学の学習が論理的思考の基盤を築くために有効である可能性は高い。単に暗記に頼るのではなく、思考の枠組みを強化することが、知的な問題解決能力の向上につながるのではないか。
昨今の人工知能をめぐる覇権争いの推移と当塾が進めるSTEAM演習の本質は、全くの同一線上にあると再確認できた。

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